鞄工房山本の奈良本店とランドセル工房を見学してきました!ランドセル選びに役立つ情報まとめ

工房系ブランドの中でも毎年安定した人気を誇る鞄工房山本。

そんな山本のランドセルについてもっと詳しく知るために、今回奈良県にある鞄工房山本の奈良本店にお伺いしました!

店舗の様子だけでなく、ランドセルを実際に作っている工房にもお邪魔し、ランドセルを作る過程もたっぷり取材。

この情報を見たら山本鞄のランドセルが欲しくなる!と感じる内容になりました。

山本のランドセルが気になっている方はぜひチェックしてくださいね!

鞄工房山本 奈良本店情報
住所 〒634-0022
奈良県橿原市南浦町899
営業時間 10:00~17:30
電話番号 0744-20-1771
定休日 水曜日(祝日除く)
年末年始

鞄工房山本のランドセルについて知りたいこと一問一答!

鞄工房山本の奈良本店にお邪魔して、2022年度の山本鞄について気になることをスタッフさん方にお伺いしてきました!

今回担当してくださったのは鞄工房山本のYさん

人気のモデルやカラーに関することだけでなく、素材や接客についてなどもすみずみまで聞いちゃいました。

ランドセル選びの参考にしてみてくださいね!

鞄工房山本の店舗売上ランキング上位モデルを教えて下さい

鞄工房山本では、店頭・通販合わせた人気ランキングをWebサイトにて公開しています。

そのため、店舗での人気モデルもWebと同じく男の子はレイブラック、女の子はラフィーネです。

レイブラックとラフィーネはダントツで人気があり、生産数も他のモデルより多いです。

たとえば他のモデルが数百本だとしたら、レイブラックとラフィーネは数千本…というようになっています。

売れるペースが早いときはできる限り生産を増やすなど、在庫切れがなるべく起こらないような工夫をしています。

過去、販売開始直後に売り切れるなどもありましたね

2~3年前ですね。
あのとき2年間ほど、販売開始直後にWebサイトもパンクしてしまうほどアクセスがあったり、店頭も長蛇の列になったりと…。

あの頃は「ラン活」というワードが話題になった頃だったからでしょうか。

山本含め、どのブランドさんもかなり大変だったと思います。

今でもはっきりした理由はわかりませんが、最近はしばらくの間安定して購入できる耐性を整えています。

去年はコロナ禍だったこともありご来店いただくご家族様も少なく、混雑していた印象はありませんでした。

今年も予約制を取っているので、混雑しすぎてランドセルが見られない、店頭で注文するのに時間がかかる、というようなことはありません。

Webもサーバーを強化して、より快適にお買い物できるようになっています。

それでは、2022年度の人気カラーを教えて下さい

鞄工房山本では、女の子はワインの人気が高いです。

山本鞄ならではのカラーですし、落ち着いていて大人っぽいカラーなので高学年でも使いやすいと人気です。

組み合わせているのがピンク色のステッチで、女の子っぽさや可愛らしさも演出しているのが人気のポイントだと思います。

ちなみにラフィーネの人工皮革にはワインがないんですが、これにも理由があって。

実は過去人工皮革モデルにワイン色を実装していたんですが、革の雰囲気と色が合わず、あまり人気が出なかったので廃盤になりました。

このとき、人工皮革は淡い色、牛革ははっきりした色が良いということがわかり、これを基準に考えています。

女の子はずっとワイン一強でしたが、最近はラベンダーの人気もかなり高まってきました。

それを受けて、各モデルにラベンダーカラーを順次追加しています。

今年はウィッシュアポンアスターというモデルにラベンダーを追加しました。

女の子の人気カラーは多様化していますが、男の子は未だに黒が根強い人気です。

男の子の1番人気は黒、2番人気は紺色です。
この2色だけで全体の7~8割を占めています。

男の子に人気のレイブラックは、黒×青が1番人気で、実は2番人気が黒×黒なんです。

こういう面でも、黒の人気が伺えますよね。

ちなみに3番人気は黒×黄。
黄色のコンビカラーはなかなかないですし、とても色が映えるので人気が高いのかなと思っています。

鮮やかさがきれいなので、今年はレイブラックのメインビジュアルにも採用しました。

鞄工房山本のランドセルが非立ち上がり型背カンなのはなぜですか?

鞄工房山本では、背カンが立ち上がっていないものを採用しています。

立ち上がり型背カンは確かに身体にフィットしやすく、背負いやすく感じるお子様も多いです。

ただ、既存の立ち上がり型背カンは立ち上がりが急すぎて窮屈に感じたり、痛みを感じたりするお子様がいます。

ようするに、立ち上がり型背カンが体に合わない子がいるんです。

そういうお子様のために、自然な造りのランドセルが必要だと思っているので、山本では非立ち上がり型背カンを採用しています。

身体にしっかりフィットするまでは少し時間がかかってしまいますが、その子のためだけに革が変化していくので、最終的に同じように背負いやすいランドセルになってくれるんですよ。

どちらの形のランドセルが合うかは、本当に個人差によります。

なので、ご来店いただいた方には必ずフィッティングをするようおすすめしています。

余裕があれば、他のランドセルもしっかりフィッティングして、お子様に合うランドセルを見極めてほしいですね。

牛革と人工皮革はどちらが人気ですか?

元がカバン屋ということもあり、やはり牛革のほうが人気です。

人工皮革は全体の3分の1程度で、あとは牛革かコードバンを選ばれますね。

よく、「人工皮革と牛革どちらのほうが良いですか、何が違いますか?」と聞かれます。

そういう方は、牛革が気になっているけど重さなどの機能面で迷っている方が多いです。

重さについては、牛革と人工皮革でノート2冊分ほどしか差がありません。

ランドセル選びは年々早まっていて、多くの方が入学の約1年前にフィッティングに来られますよね。

フィッティング時は大きく、重く見えるランドセルも、1年後の入学時にはもう少し背負いやすい体格に成長します。

「今は身体が小さくても、今後は大丈夫ですよ」とご案内させていただくことが多いですね。

それよりも、背負うのは子どもなので、子どもが気に入ったものを購入していただきたいです。

それで納得いただけたら牛革を買われますし、不安な方は人工皮革にされます。

牛革と人工皮革で迷っている理由や、懸念点はどんなポイントかを考えて、我々に聞いていただけると嬉しいです。

You Tubeライブで質問受付中!

鞄工房山本では、毎週土曜日と日曜日にYou Tubeライブを配信しています。

そこでは、現在閉店中の店舗からリアルタイムでランドセルの情報を配信!

コメントで質問をすれば答えてくれるし、見たいランドセルを細かく見せてくれます。

店舗が塩浦で行けない方や、コロナ禍で外出が難しい方はぜひ利用してみてくださいね。

鞄工房山本の保証制度では、どのような修理依頼が多いですか?

金具に関する修理のお申込みが多いです。

鋲の留めがゆるくて取れてしまったり、金具がうまく回らなかったりと、製造段階で気付けなかった不良の修理になります。

もちろんこういった修理はすべて無料です。

その他には、「長期間使ったことで金具が回しにくくなってしまった」という方や、「コバ塗りがハゲてきたので塗り直して欲しい」というようなお申込みもあります。

ランドセルの肩ベルトが壊れるなどもないわけではないですが、あまりありません。

どんなランドセルを探している方に山本のランドセルをおすすめしたいですか?

鞄工房山本では、「良いものを作る」という理念を掲げてランドセルを一つひとつ丁寧にお作りしています。

そのため、「しっかりしたものを子どもに持たせたい」と思っている方や、「手をかけているものが欲しい」という方におすすめしたいです。

本店付近にある工房も見学可能なのですが、そちらを見ていただくと山本のランドセルがどのように作られているのか、よく伝わるのではないかなと思います。

良いもの、しっかりしたものがいいという方はぜひ、鞄工房山本のランドセルを検討していただきたいです。

鞄工房山本のランドセルを作る工房見学!

ということで、鞄工房山本の奈良本店の近くにあるランドセル工房を見学させていただきました!

奈良県ならではの、歴史ある日本家屋をイメージした建物です。

今回はかなり細かく製造段階のお写真を撮影させていただけたので、写真メインでご紹介していきます!

鞄工房山本Yさんのコメント

鞄工房山本のランドセル工房では、ランドセル製造の過程に合わせて「班」で分けて作業しています。

班ごとに何をしているかわかるととてもおもしろいと思いますよ。

革の裁断

鞄工房山本では、牛革を染めたままの素材を仕入れて工房で裁断していきます。

そのため1番最初の素材は、裁断面がばらばらな牛革。

完全に素材から作っているという感じがしますよね!

鞄工房山本Yさんのコメント

牛革は、おしりの方(↑写真下側)に向かって革が硬く丈夫になっています。

そのため、かぶせなどよく動かすパーツをおしりの方から取って、それ以外のパーツを頭の方から取っています。

こうすることでランドセルの耐久度が上がるように調整しているんです。

革が無駄にならないよう、切り抜くパーツを決めるのは人の手で1枚ずつ行っています。

ばってんが打ってあるところは、裏側が汚れているなどで使えない箇所です。

そういうチェックも隅々まで行われているんですね。

そして、線をつけた革を裁断するのがこの大きな機械です。

裁断したい革を置き、プロジェクターとコンピューターを使って自動で裁断していきます。

素直にすごい。
プロジェクターで革にパーツを映していく作業はマウスを使って人が行います。

そのあとはスイッチオンで機械が裁断してくれるんですね。

鞄工房山本Yさんのコメント
手作りにこだわる方の中には、すべての工程を手作業で行わないと意味がない、と考えている方もいらっしゃいます。

ですが、こういう機械でも行える工程に機械を導入することで、他の部分に人の手をかけることができるようになるんですよね。

できるところはすべて人の手で行いますが、こういった機械を使うことが必ずしも悪いかと言われると、そうじゃないんじゃないかなと考えています。

裁断自体は機械ですが、この段階で多くの手がかかっていることはよくわかります。

ユーザーともしっかり向き合ってくれているんだなと感じました。

続いて、革を頑丈にする芯材のカットも行います。

このときカットしていたのは大マチの芯材です。
この芯材のカットも機械で行われます。

コバ塗り

続いて見せてもらったのが、山本鞄の特徴でもあるコバ塗りです。

コバ塗りとは、ニスを何度も塗り重ねて革の断面をコーティングする伝統的な手法のこと。

技術や知識が必要なので、ランドセルに取り入れることができる工房は限られています。

コバ塗りは完全に手作業です。
かぶせ1枚1枚、職人さんが手作業で塗り重ねていきます。

鞄工房山本コバ塗り職人さんのコメント
ニスは全部で3回塗り重ねます。

1回目と2回目は専用の乾燥機を使って乾かしますが、3回目はひと晩かけて乾かします。

コツが必要な、重要な作業です。

こちらが3回目のニスが塗り終わったばかりのかぶせです。

つやつやでとってもきれいですよね!
このあと一晩かけて乾燥させて、コバ部分の研磨を行います。

ニスの汚れを落としたり、コバ塗りの仕上げになる作業です。

かぶせにステッチを付ける

コバ塗り部分が完成したら、かぶせにステッチをつけていきます。

これがかぶせの模様を作るコンピューターミシンです。

そして、ミシンの糸が解れたり取れたりしないよう、裏地に糊を貼って固定します。

このときはラフィーネのステッチ部分に糊付けをしていました。

ハケで適量を塗っていく作業、ちょっと楽しそうです。

そしてかぶせのサイド部分にステッチを入れつつ被せと縫い合わせて完成になります!

大マチをつくる

かぶせの次はランドセルの本体部分である、大マチを作っていきます。

大マチは型くずれしないよう芯材や補強パーツ、クッションなどを組み込んでいくため工程が多い箇所です。

まずは革に芯材を張り合わせます。
写真は、芯材を張り合わせた状態の大マチのサイド部分のパーツです。

クッション材を入れた部分にステッチをつけていくと、なんとなく見たことがある見た目に近づきました!

組み立てるときに張り合わせやすいように、プレス機で折り目をつけていきます。

小マチを作る

少し作業が飛んで、続いては小マチを作る作業です。

裏地を張って、ファスナーを取り付けた小マチの正面部分です。

ポケットになる布と縫い合わせて、ひっくり返していきます。

鞄工房山本Yさんのコメント
このひっくり返す作業、スタッフは簡単そうに行っていますが、かなり力のいる作業です。

縫い目がしっかり裏側にひっくり返るように、ハンマーで軽く叩いて調整します。

本当に簡単そうに見える作業ですが、ランドセルの工程としてはとても重要な作業。

これをすべて手作業で行っているのだから驚きです。

小マチをミシンで縫い合わせていく作業です。

ミシンでの作業は力も必要だし、繊細な技術が求められます。

職人さんはみんななれた手付きでさくさく作業していきますが、かなり難しいポイントなんだろうなと見ていてわかりますね。

大マチにヘリを付ける

おおよその形が整ってきたら、大マチにヘリを付ける作業に入ります。

縁をつけるのはここの部分。

カーブしているのでとても難しいポイントですが、ここもミシンを使って手作業で行います。

細かく調整しつつ、スピーディに作業されていました。

鋲を付ける

次は、鋲をつけていく作業です。

鋲はランドセルのモデルごとに付ける箇所や形が違います。

鞄工房山本Yさんのコメント
鋲は強くプレスしすぎると割れてしまうし、弱すぎると取れてしまうので力の加減が難しい作業です。

プレス機で取り付けるときは、ゆっくりプレスして割れないように調整しています。

背カンの取り付け

背カンの取り付けももちろん手作業です!

上から背カンの位置を調整し、下のパーツと合わせて取り付けていきます。

鞄工房山本職人さんのコメント
裏のパーツは、手探りで「この位置!」と調整して取り付けています。

完全に慣れですね。

慣れるまでは下を見て調整していましたが、時間がかかるので効率が悪いです。

慣れてからは下は見ないで、効率的に丁寧に作れるようになりました。

実際に作業している様子を見せてもらいましたが、本当に下のパーツは手探り!

それでもしっかりした位置に設置されているので感動しました。

キザミを作る

ランドセルづくりの仕上げにも近い、キザミを作る作業。

キザミとは、ランドセルの角を菊模様っぽく整える技術のことです。

このキザミは機械で作れず手作業で行う必要があるので手間がかかります。

これがキザミを作る前の角の部分です。

細い道具を使ってキザミを作ったあとのランドセルがこちら。

小さなポイントですが、このキザミを採用しているランドセルブランドは結構少ないので見どころです。


今回の工房見学では、すでにその日の作業が終了している班などもありすべてを見学することはできませんでした。

しかし、これだけでもかなりの情報量でとても参考になるんじゃないでしょうか?

実際に手をかけて作られているのを見ると、「山本のランドセルっていいな」という気持ちが強くなります。

鞄工房山本Yさんのコメント
実際に工房を見ると、ランドセルに対する気持ちが大きく変わるんじゃないかと思います。

愛着が湧いて、お子様も大切にしてくれるんじゃないでしょうか?

なかなか工房見学をしに来てくださる方は少ないのですが、よければぜひ見ていってほしいですね。

鞄工房山本奈良本店でランドセル選びを充実させよう!

今回は鞄工房山本の本店と工房を見学してきました。

やはり、「実物を見ると印象が変わる」と感じます。

特に今回は工房にもお邪魔したので、山本鞄のランドセルに対する見方や感じ方が変わったなと思いました。

山本のランドセルが気になっている方で、本店に行ける距離の方はぜひ一度行ってみることをおすすめします。

店舗だけでなく、時間があれば工房見学もしてみてください。

個人的には、工房見学が特におすすめです!

鞄工房山本で、良いランドセルに出会えるいいですね。