最近、「ランドセル症候群」という言葉を時々見かけます。
ニュースサイトに掲載されてSNSでも大きな話題となり、テレビニュースでも紹介されて大きく注目されています。
「ランドセル症候群」と聞くと、どうしてもランドセルが悪いもののように聞こえてしまうので、どういう病気なのか気になっている方も多いですよね。
特に、今からランドセルを買う方は「ランドセルをやめるべきなの?」と悩んでいるかもしれません。
この記事では、ランドセル症候群とは何か、本当にランドセルは悪いものなのか、具体的にご紹介します。
ランドセル症候群について知りたい方はぜひ参考にしてください!
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ランドセルの重さや価格がネックで悩んでいる人向けに、Rikomonではリュッセルを販売しています。
リュッセルとは、かぶせのみ人工皮革で本体がナイロン製のランドセル型リュックのこと。
ランドセルとリュックのいいとこ取りができるカバンなので、最近注目を集めています。
Rikomonでは通常のランドセルも販売しているため、ランドセルとリュッセルの比較も可能です◎
まずはカタログ請求して、リュッセルの特徴や「本当にランドセルじゃなくていいの?」「逆にランドセルのいいところって?」など、気になる疑問を解決しましょう!
ランドセル症候群って何?定義と症状
そもそも、ランドセル症候群って何でしょうか?
ランドセル症候群とは、子どもが自分の身体に合わないランドセルを背負うことで、心身に不調が起きてしまうことです。
また、具体的には小さな子どもが3kg以上の通学カバンを背負って通学することで、身体的異常や通学への憂鬱な気持ちが生まれてしまう状態、としています。
近頃問題視されている、「小学生の荷物重すぎ問題」。
荷物が重すぎるせいで肩こりや筋肉痛が起きたり、登下校を嫌がる子どもが増えてしまいました。
このような現象を分かりやすく世間に知ってもらうため、子どもについて研究している大学教授と整形外科の先生が「ランドセル症候群」と名付けたのが発祥。
明確に言うと、「ランドセル症候群」とは病名ではなく、ランドセルが重いせいで引き起こされる症状をまとめた名称です。
ランドセル症候群と言われる心身の症状
続いて、ランドセル症候群とされる具体的な症状をご紹介します。
先程も述べた通り、ランドセル症候群の症状は身体的な面と精神的な面、2つの症状に分かれます。
まず、ランドセル症候群として顕著に現れるのが身体的な症状です。
具体的な症状は以下の通り。
- 肩こり
- 筋肉痛
- 腰痛
重いランドセルを背負って歩くと、上記のような症状が現れる場合があります。
特に、女の子や小柄で体重が軽い男の子、教材が増えた中~高学年の子は、痛みを感じやすいのではないでしょうか?
筋肉痛はまだしも、普通大人に多い肩こりや腰痛を、10歳にも満たない子どもが訴えるのってかなり心配です。
ランドセル症候群という言葉が浸透し始めたのも、このような「本来子どもではありえないような症状」が増えてきたからこそではないかと考えられます。
ランドセル症候群、もう1つの症状は精神的な内容です。
ランドセルが重すぎて、徒歩での通学を苦痛に感じてしまう、憂鬱に感じてしまう、といった気持ちへの影響もランドセル症候群と言われています。
学校から家までの距離が遠い子は特に、苦痛を感じてしまうでしょう。
ランドセル症候群はなぜ起きるのか?具体的な原因
ランドセル症候群による各症状はなぜ起きてしまうのでしょうか。
端的に言うと、子どもが毎日背負って行かなければならない荷物が重すぎるからです。
ランドセルが悪いとかリュックにした方がいいとか鞄の問題以前に、そもそも中に入れてる荷物が重すぎます。
ランドセル症候群の原因となっているランドセルの重さ問題について、もう少し深堀りしてみましょう。
教科書が増量して小学生の荷物が重くなっている
自分が小学生だった頃、たしかにランドセルって軽いものではなかった記憶がありますが、「そこまで?」と疑問を抱く方も多いはず。
ランドセルを背負って普通に走っていたし、ランドセルを背負ったまま遊具で遊んでいた友達もいました。
しかしそれは昔の話で、今の小学生は私達が子どもの頃よりもっと重い荷物を背負っています。
学年 | ランドセルの平均重量 |
---|---|
1年生 | 3.6kg |
2年生 | 4.1kg |
3年生 | 4.7kg |
4年生 | 5.0kg |
5年生 | 5.2kg |
6年生 | 5.4kg |
参照:ランドセル工業会
上記の表は、ランドセルやナイロンバッグといった鞄を除いた、荷物のみの重量です。
学習指導要領の改定で、授業時に教科書だけでなく資料集を使うようになったり、ユニバーサルデザインの追求によって1冊のページ数が増量したりしました。
年度 | 教科書の総ページ数 |
---|---|
平成17年度 | 4,857ページ |
平成23年度 | 5,916ページ |
平成30年度 | 7,587ページ |
令和2年度 | 8,520ページ |
その結果、令和2年度の教科書総ページ数は17年前(平成17年度)と比べると35%も増量しています。
それだけでなく、最近は子どもが学校で水分補給をするために水筒を持たせる学校も多いです。
1リットルの大きな水筒を持っている子も多く、それだけで1kgの重さ。
「5kg以上ある鞄を背負って毎日15分歩いて通勤してください」と言われたら、大人でも大変に感じますよね。
子どもは大人より小さな体で毎日背負って通学しています。
例えば小学3年生の平均体重は30kg前後で、持ち運んでいる荷物は4.7kgなので、体重の約16%分の荷物を持って歩いていることに。
これを体重60kgの大人に置き換えると、9.6kgです。
毎日9.6kgの荷物を持って歩けと言われたら、肩こりや腰痛が起きてしまうのも納得できます。
子どもの身体に影響を及ぼすのは荷物の負荷がかかるから
荷物の重さが身体に悪影響を与えてしまうことは分かりました。
次は具体的に、どのようなメカニズムで重みが身体に影響を及ぼしてしまうのかをご紹介します。
ランドセルをはじめとしたリュック型の鞄は、荷物の重さがすべて肩にかかってしまいます。
荷物を支えているベルトが両肩の2本分だけなので、後ろに引っ張られるような重みがずっと肩に乗っている状態。
骨や筋肉が発達しきっていない小学生は、大人以上に肩にかかる重みを感じやすく、肩こりに発展してしまいます。
重い荷物を入れた鞄は、重心がどうしても下側に下がってしまいます。
また、通学中動き回ると鞄の中に入れた荷物が外側に移動します。
すると子どもの体に対して、荷物の重みで下側、かつ外側に身体を引っ張ってしまうので、より荷物を重く感じることに。
必要以上に身体へ負荷がかかると普段使わない筋肉を使うため、筋肉痛が引き起こされます。
また、下+外側に向いた荷物の重心を無理やり上に上げて背負いやすくすると身体に重心が前に傾きます。
背中を丸めて前傾姿勢で歩く子も多く、ランドセルの背負い方が原因で猫背になってしまう場合もあるでしょう。
荷物の重心が外側に向くと、ランドセルの下部が腰に食い込んでしまうことも。
上の写真は、重心が下+外側に傾いてしまったランドセルを背負っている図です。
ランドセルの下部分が、腰にがっつり当たっているのが分かりますよね。
重い荷物を入れた状態だと、肩だけでなく腰にランドセルが当たって痛みを訴える子もいます。
腰に掛かる負荷が腰痛に繋がる場合もあるので、注意が必要なポイントです。
ランドセル症候群はランドセルが悪いわけではない
ここまでは、ランドセル症候群と呼ばれる症状やその原因について解説してきました。
じゃあ結局、ランドセルって「悪いもの」なのか?というのが気になるポイントでしょう。
結論から言うと、ランドセルは必ずしも悪くありません。
先程も解説した通り、鞄を除いた荷物の重さであれだけあるんです。
ランドセルを使ってもリュックを使っても、子どもは3~5kg以上の荷物を持って通学しなければなりません。
「ランドセルは重い」という意見はSNSでもたくさん見かけますが、子どもの荷物が年々増えているのに対し、ランドセルもどんどん進化しています。
なるべく軽く、丈夫さを追求した軽量モデルや、子どもが負担を感じにくくなるよう様々な工夫がなされています。
派手な色やデザインのランドセルばかりが注目されがちですが、機能面も大幅に変わっているのです。
ここからは、今のランドセルが機能的にどうなっているのかを詳しくご紹介します。
ランドセル症候群対策で思っているより重くない
まずはランドセル本体の重さについてです。
確かにランドセルは、ナイロン製の通学鞄より重く作られていますが、実際は「思っているより重くない」というのが実情。
現在販売されているランドセルの重さを素材別にまとめました。
素材 | 重さ |
---|---|
馬革(コードバン) | 約1,200~約1,600g |
牛革 | 約1,100~約1,400g |
人工皮革(クラリーノ、コードレ)) | 約800~約1,200g |
ナイロン製鞄 | 約700~約900g |
「ランドセルが重い」というイメージが強いのは、以前ランドセルの主要素材が馬革や牛革などの本革だったからと考えられます。
現在のランドセルは本革に質感を似せた人工皮革が主流で、見た目はそのままに軽量化。
ランドセルについて調べていると見かける「クラリーノ」や「コードレ」が人工皮革です。
特に軽量化されたモデルは1,000gを切っており、ナイロン製鞄と100~200gほどしか差がありません。
まだ根強い人気を誇る牛革ランドセルも、人気工房計ブランドでだいたい1,300g前後です。
ナイロン製の鞄と比べると差は400~500gほどで、教科書に換算すると約2冊分。
こうして比べてみると、ランドセル自体が特別重いわけではないと分かります。
ランドセル症候群にならないよう軽量化したランドセルの一例
一例として、軽量化に特化したランドセルをご紹介します。
Rikomonでは、ナイロン製の本体に人工皮革製のかぶせを付けた特殊なカバン「リュッセル」を販売しています。
ランドセルとリュックのメリットを組み合わせたようなカバンで、見た目はほぼランドセルなのに機能はリュックに近いアイテム。
最も軽いモデルだと約925gなので、重いコードバンや牛革のランドセルと比較すると400~500g近く変わります。
子どもへの負担を考えてランドセルを避けたくても、周りのお友達と違うカバンを持っていると目立つので嫌がる子も多いですよね。
いくら子どものためを思った選択でも、子どもが嫌な思いをしていては元も子もありません。
リュッセルなら見た目がほぼランドセルなので、周りにも馴染みやすいのが特徴です。
イオンのはなまるランドセルは人工皮革製で総重量約980gです。
1,000gを切っていてランドセル自体がとても軽く、カラーバリエーションが豊富なのも人気のポイント。
イオンは全国にあるので誰でも購入しやすく、修理に持ち込みやすいところもメリットです。
セイバンのスゴ軽は、セイバンランドセルの中でも軽量化にこだわったシリーズ。
基本機能はセイバンランドセルと同じなので、背負いやすさの工夫はそのまま、軽く作られています。
軽さだけでなく機能にこだわりたい方におすすめです。
イオンやセイバンだけでなく、その他のブランドでも軽量化にこだわったランドセルはたくさん販売されています。
重さにこだわっても高い機能が付いてくるモデルが増えてきたので、どうしてもランドセル症候群が気になる方は軽量化モデルに絞って探してもいいでしょう。
感じる重さを軽減させる立ち上がり型背カンランドセルが増えている
先程、重い荷物を背負うと重心は下と外側に行ってしまい、重さを感じやすいとご紹介しました。
ランドセルでは、荷物の重さをなるべく感じさせないよう、立ち上がり型背カンを採用しているランドセルブランドがほとんどです。
立ち上がり型背カンとは、肩ベルトの付け根を立ち上がらせた形のこと。
写真を見るとよく分かりますが、ベルトの付け根が立ち上がった状態で固定されています。
立ち上がり型背カンのランドセルだと重心を上に引き上げてくれるので、重さを感じにくくしてくれます。
人気工房系ブランド「黒川鞄」の例えが分かりやすいと感じたのでご紹介します。
上の通り、立ち上がり型背カンを採用したランドセルは身体にランドセルがしっかりフィットしてくれる背負いやすい設計です。
実際に、セイバンで立ち上がり型背カンを採用したランドセルと、非立ち上がり型背カンのランドセルを背負い比べた時の写真がこちら。
両方とも同じランドセルで、ベルトの長さも同じに統一して背負っています。
立ち上がり型背カンを採用していると重心が分散されにくく、同じ荷物を入れていても軽く感じました。
このようにランドセルでは、できる限り体に負担をかけないよう、軽く背負える工夫がたくさん施されています。
ランドセル症候群と言われてもランドセルを選ぶメリット
ランドセル症候群が話題になった時、SNSの反応を見ていると、「ランドセルは重要だ」という意見と「ランドセルじゃなくてもいい」という意見で大きく分かれているように見えました。
実際に子育てしている方の意見も、ランドセル派とリュック派で分かれているように感じます。
確かに、鞄の重さのみを見ればナイロン製のバッグやリュックサックの方が軽いです。
しかし重さや機能だけでなく、ランドセルにはランドセルにしかないメリットがあります。
1つ目のメリットは、ランドセルが転んだときの子どもを守ってくれること。
実物を見ると分かりますが、ランドセルはちょっとやそっとのことじゃ潰れません。
各社潰れないような工夫をしているので、よほどのことがなければぺちゃんこになりません。
転んだときや壁にぶつかった時など、ランドセルが衝撃吸収してくれるので大怪我を防げる可能性も。
また、後ろに転んでしまった時、ランドセルがクッションになるので頭を打たないよう守ってくれます。
ランドセルは荷物を運ぶだけでなく、子どもを守る道具でもあります。
2つ目のメリットは、外側から力をかけられても中の荷物を守ってくれることです。
ランドセルは潰れにくい箱型の鞄なので、教科書やノートをきれいな状態で運べます。
角が擦れてぼろぼろにならず、外側から力をかけられても守ってくれるのは大きなメリットです。
ランドセル症候群にならないためにできる対策
私はラン活も楽しかったし、弟が嬉しそうにランドセルを背負っているのを見て「やっぱり買ってよかったな」って思っています。
個人的にはランドセルが好きなので色んな人に魅力が伝わってほしいなと思っていますが、ランドセルにするか、ナイロンバッグにするかは個人の自由です。
しかしどちらを選んでも、持っていかなければならない荷物の量が変わらない以上、できる限り軽くしてあげる工夫をしなければなりません。
ここからは、ランドセル症候群を防ぐための具体的な対策をご紹介します。
いらない教科書は置き勉で対応する
ランドセル症候群を根本的に解決するためには、鞄を変えるよりもまず荷物を減らすことが重要です。
学校が許可してくれている地域なら、できる限り教科書や資料集は置き勉して荷物を減らしましょう。
文部科学省は置き勉を推奨していますが、実際置き勉を許可している学校は少ないと聞きます。
根本的に荷物を減らすのは学校の関係上難しいかもしれませんが、置き勉を許可してもらえるよう働きかけるのも1つの手です。
また、面倒かもしれませんが毎日登校する前に、不要な教科書を入れてないか確認してあげるのも有効です。
私も昔そうだったのですが、忘れ物をしたくないのと教科書の入れ替えが面倒で、毎日5教科すべての教科書とノートを入れていました。
私と同じように準備が面倒で不要な教科書まで入れている可能性があるので、必要な教科書と照らし合わせれば荷物を減らしてあげられます。
子どもの体に合わせて肩ベルトを調節する
結構確認し忘れてしまうポイントですが、ランドセルやリュックの肩ベルトにも注意してください。
肩ベルトの長さが合っていないと、子どもの身体に悪影響を及ぼします。
肩ベルトが長い | 鞄の重心が下がって重く感じてしまう |
---|---|
肩ベルトが短い | 窮屈で鞄が食い込み、痛みを感じてしまう |
子どもはすぐに身長が伸びて体格が変わるので、定期的に肩ベルトが身体に合っているか確認してあげましょう。
ランドセルの肩ベルトは、ブランドによりますが7段階くらいに細かく調整できます。
高学年の子は自分で調整できますが、低学年は保護者が注意して見てあげてください。
チェストストラップを使って負荷を分散する
肩にかかる重さを分散するために、チェストストラップもおすすめです。
チェストストラップとは、肩ベルト同士を胸元でつなげるパーツのこと。
チェストストラップがあると、本来肩だけにかかる負荷を胸元にも分散できるので背負いやすくなります。
肩ベルトのずり落ちも防止できるので、小柄な子におすすめです。
チェストストラップは基本別売りになりますが、価格はそこまで高くありません。
手軽にできるランドセル症候群対策として、すぐに始めやすいでしょう。
人工皮革製の軽いランドセルを選ぶ
これからランドセルを選ぶ方は、人工皮革製の軽いランドセルを選ぶのがおすすめです。
数百グラムですが、ランドセル自体の重さを軽減するのもランドセル症候群対策として有効です。
もちろん本革製のランドセルにも、本革製にしかない魅力があります。
ランドセルを選ぶ時は、見た目や機能面、軽さなど、どのポイントを重視するかしっかり決めてからブランドを絞っていきましょう。
展示会や店舗に行くと、軽いランドセルだけでなく、軽く背負う方法も詳しく教えてもらえます。
ランドセル症候群が不安でも対策はできる
「ランドセル=小学生になる」とイメージを持っている子どもも多いです。
ランドセルの必要性についてSNSで議論している方の中には、「ランドセルに憧れを持っている子どものためにも、ランドセルを持つ願いを叶えてあげたい」と発言していました。
ランドセル症候群は、確かに看過すべきではない問題です。
しかし、ランドセルをやめればランドセル症候群にはならないのかと言われると、それも違うような気がします。
子どもの気持ちと身体への負担を考えて、保護者としてランドセルを買うか買わないかは個人の自由だし、どちらを選択しても間違いではありません。
でも、ランドセルならではのメリットや軽量化・背負やすさの工夫も加味した上で判断してほしいなと思います。